2022-10-14
農地の処分・取扱いについては民法の特別法の位置づけである農地法の制限を受けるのです。
農地法とは、国民の限られた資源であり、かつ、地域における貴重な資源である農地を農地以外のものにすることを規制するとともに、農地を効率的に利用する耕作者による地域との調和に配慮した農地についての権利の取得を促進し、及び農地の利用関係を調整し、並びに農地の農業上の利用を確保するための措置を講ずることにより、耕作者の地位の安定と国内の農業生産の増大を図り、もって国民に対する食糧の安定供給の確保に資することを目的としています。(農地法第1条)
そして、農地の権利移転や転用の制限については農地法第3条・第4条・第5条で、その適用場面や要件、手続きのルールを定めています。
農地法第3条
適用場面
農地法第3条が適用されるのは、「農地または採草放牧地について所有権を移転し、または地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権もしくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、もしくは移転する場合」とされています。
例としては、農業を行うために、農地を購入する場合や、賃借する場合に、農地法第3条の許可が必要です。
権利が移動しても用途は農地または採草放牧地です。
農地⇒農地 ・ 採草放牧地⇒農地 ・ 採草放牧地⇒採草放牧地
許可権者
農地法第3条は原則として農業委員会の許可が必要です。
農地法第4条
適用場面
農地法第4条が適用されるのは、「農地を転用するときです」。採草放牧地は適用されません。つまり、農地を農地以外にする場合となります。
例えば、農地上に住宅を建築するため、農地を宅地に転用する場合には農地法第4条の許可が必要になります。
転用とは、
農地⇒宅地 ・ 農地⇒採草放牧地 ・ 農地⇒その他
許可権者
原則として、都道府県知事、または農林水産省が指定する市町村の区域内にある農地を転用する場合には、指定市町村の許可が必要です。
ただし、市街化区域内にある農地については農業委員会への届出制となっています。
農地法第5条
適用場面
農地法第5条が適用されるのは、「農地または採草放牧地を転用するためにこれらの土地に何らかの権利を設定し、あるいは権利を移転する場合」です。
例えば、農地を買い受けて宅地に変更し、住宅を建築しようとする場合に、農地法第5条の許可が必要となります。つまり、農地の権利移転と転用を同時に行う場合です。
ただし、採草放牧地を農地に変更するための権利移転については農地法第5条の適用はありません。
権利移転+転用ということです。
Aさん/農地⇒Bさん/宅地 ・ Aさん/農地⇒Cさん/採草放牧地 ・
Aさん/農地⇒Dさん/その他 ・ Aさん/採草放牧地⇒Eさん/その他
許可権者
原則として都道府県知事の許可が必要です。
ただし、市街化区域内にある農地または採草放牧地については農業委員会への届出制となっています。
農地は所有者が自由に処分できるわけではないので大変です。
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