2022-09-26
まず、任意後見制度と法定後見制度の違いを知っておきましょう。
『法定後見制度』
☆認知症になったときに利用できるのが→法定後見制度
法定後見とは、現に本人の判断能力が低下した場合に、親族等の請求により、家庭裁判所が成年後見人等を選任する場合で、成年後見人等が法定の権限に基づいて本人の財産管理や身上監護を行う制度です。
法定後見には、成年後見、保佐、補助の3つの類型があります。
成年後見:本人の判断能力がほとんどない場合に、家庭裁判所が後見人を選びます。
保佐:本人の判断能力が著しく不十分な場合に、家庭裁判所が保佐人を選びます。
補助:本人の判断能力が不十分な場合に、家庭裁判所が補助人を選びます。
『任意後見』
☆認知症になる前に備えておくのが→任意後見
任意後見とは、判断能力があるうちに、公正証書を作成して任意後見契約を結び、判断能力が低下したときの事務(財産管理や療養看護に関する事務)の内容と、後見人になる人を定めておく制度です。
任意後見制度の基本理念は、利用者の「自己決定権の尊重」です。
次に、任意後見契約の種類については大きく3つの型があると考えられています。
①将来型
任意後見制度の基本理念である「自己決定権の尊重」から導き出される基本の契約です。
判断能力が正常な時点で、委任者(本人)が選んだ受任者(他者)に、財産管理や療養看護等に関する事務を委任しておきます。
ただし、この契約の効力が発生するのは、将来委任者(本人)の判断能力が不十分となり、受任者(他者)らが、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求し、委任者(本人)のために任意後見監督人が選任された時からです。
②即効型
契約を結ぶ能力が失われていなくても、判断能力が衰え始めている場合に、契約締結後直ちに任意後見契約の効力を発生させることを目的として委任者(本人)が受任者(他者)と結ぶ契約です。
この場合、契約締結後直ちに委任者(本人)または受任者(他者)が、委任者の事理弁識能力が不十分な状況にあるとして、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求することになります。
即効型であっても、家庭裁判所が委任者(本人)のために任意後見監督人を選任したときから、任意後見契約の効力が生じます。
③移行型
委任者(本人)の判断能力が正常であっても、身体機能が衰えて、生活等に不自由を感じている場合に、受任者(他者)に現在の財産管理等の事務を委任し、判断能力が不十分になった時には、受任者(他者)が任意後見監督人の選任を請求するという契約です。
移行型では、委任契約と任意後見契約を同時に結ぶことになり、委任契約は契約で定めた時点から効力が生じ、任意後見契約は、家庭裁判所が委任者(本人)のために任意後見監督人を選任した時から効力が生じます。
最後に、任意後見事務の費用と報酬についてですが、
任意後見事務の処理に必要な費用は、委任者(本人)の財産から拠出します。
報酬については、身内が任意後見人となる場合は、無報酬の例が多いようですが、契約で報酬を定めることも可能です。
弁護士、司法書士、行政書士、社会福祉士などの専門家に任意後見人を依頼する場合は、毎月定額の報酬を支払う旨を契約で定めることが一般的です。
これに対して、家庭裁判所が選任した任意後見監督人については、原則として報酬を支払わなければなりません。
任意後見監督人の報酬の金額に関しては、家庭裁判所が事案に応じて決定し、決定された報酬は委任者(本人)の財産から拠出します。
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